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はじめに

ここの内容は、
脳幹梗塞という病気になってしまった50代前半の男の稚拙な備忘録です。

もっと若くしてこの病気になってしまい、苦しんでいる人がいると思います。
入院中の人、リハビリ中の人、
重い後遺症等で苦しんでいる人がいると思います。
また、病気になってしまったご本人もそうですが、
一緒に苦しんでいるご家族もいると思います。

心よりお見舞い申し上げます。

入院中、ここの内容の原案となる「下書きっぽい」のを
リハビリ病棟の病室でノートパソコンのメモ帳を使い、
動かし辛い右手で少しずつリハビリをかねて書いていました。

この「下書きっぽい」のは、
入院して1ヶ月以上いや2ヶ月近く経ってから書き始めています。
それまで右手が思うように動かず、マウスも使えなかったのです・・・
なので入院当初のことは、忘れちゃったことも多々あります。
後からあんなこともあった。こんなこともあった。と思い出していそうです。

なお、私は医療関係者ではありません。
医療に関わることは、全くの素人です。
自分がなってしまった病気のことは後から調べましたが、
詳しくはわかっていません。
あらかじめご了承ください。



rouka01.jpg

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自己紹介

「きゃ~はははははは!」

夜中のバラエティー番組を毎晩のように観ては大声で笑うおっさん
近所迷惑だろうが!
と今にも言い出しそうな奥さんに構わず大声で笑うおっさん

そう、筆者です。

自己紹介しときます。

名称は、卯月 順正。 もちろん偽名でハンドルネームです。
ちなみに苗字の由来は、
4月にここの内容(ブログ)を書き始めたからです。
2月にブログを書き始めた人を知っていますが、
その人の真似をしてみました(笑)
名前の順は、奥さんの名前の1文字です。
子をつければ奥さんの名前が出来上がりです。
正は、私の名前の1文字です。だからなんだよ!ですよね。

歳は、この時52歳。

見た目は
50代に見られたことがないとても若々しい感じです(自分で言うな!)

既婚者で、22歳のとき結婚しました。
52歳現在、29歳の息子と26歳の娘がいます。

仕事は機械設計業を法人として営む社長さんです。
ま、社長といっても私1人でやってるんですけどね。
一日中、自宅に居てパソコンで図面を描いてます。
30年以上、東証一部上場企業から仕事をいただいております。

平成6年に購入した建売戸建で一緒に生活してるのが
奥さん、息子、娘(男んとこにいて普段はあまりいないけど)
そして私の実妹の5人。

まぁまぁ平凡で傍目から見れば普通に幸せそうな
どこにでもありそうな家庭です。

このまま何事もない人生を送り、
歳を重ねていくのだろうと思っていました。

・・・

ところが

ある日突然、大黒柱である私が脳幹梗塞という病気になってしまい
入院し、今までと全然違う生活になってしまいます。

夜中のバラエティー番組を毎晩のように観ては大声で笑う生活が
夜9時消灯の入院生活を3ヶ月以上することになります・・・
退院したあとも後遺症を抱えることになります・・・

・・・健康診断もしていなかったからなぁ
・・・血圧測定もしていなかったからなぁ

・・・喫煙者で酒好きだったからかなぁ
・・・私が悪いよなぁ

・・・私が悪いのかなぁ
・・・そうかなぁ

・・・そうなんだろうなぁ
・・・でもこんなヤツはイッパイいるはずなんだけどなぁ
・・・それでも私が悪いのかなぁ
・・・
・・・

・・・これが運命なのかなぁ

・・・

・・・



発症(一)

それは突然でした。

2015年11月18日(水曜日)
夜7時頃
突然、目まいがしました。

いつものように自室で椅子に座って、
パソコンで仕事の図面を描いていましたが、
目まいで椅子に座ってられません。
椅子から滑るように降り、横になりました。

すぐ治るだろうと安易に思っていました。
本当に何事もなくすぐに治るだろうと。

ところが・・・

目を開けていても周りが見えたり見えなかったり、頭の中がグルグルまわり
思うことは 「なに? なに? なに? どういうこと?」 ばかり。

治らない・・・

治らないぞ・・・

全然治る気がしなくなりました。

その日は雨が降っていました。
雨の音だけが頭に響きます。
そう。意識はあるのです。

そのうち・・・

死を考えた。

こんな形で死ぬの? こんなんで死ぬの?って。

・・・

えぇえええええぇえええええ?

と、と、突然死かよぉおおおおお?

何が何だかわからないのです。

目を開けていても周りが見えたり見えなかったり、頭の中がグルグルまわり
本当に夢か現実かわからない状態です。
なんかもう朦朧としてきます。 

・・・

後から調べましたが、脳幹梗塞という病気には前兆があるといいます。が
何にも無かったぞ! 突然だ! びっくりだ!
 
○ 朝起きたときの手足のしびれや麻痺。 
○ 突然言葉が出なくなる。
○ ろれつが回らなくなる。
○ 箸を落としたりする。
○ 物忘れがひどくなった。
○ 頭が痛い。
○ 頭がぼーっとすることが増えた。

後から調べたこれらの症状は何にも無かったぞ!

あ、10月のおわりになんとなく頭が変だな・・と思うことがありましたが、
すぐに治り何事もなかったようになりました。
今思えばあれが前兆だったのかな・・・ つーか、3週間も前だぞ!

でもいやまぁ、出先でこんなことにならなくて良かった。
自宅にいる時で本当に良かった。
不幸中の幸いというか・・・
これがもし自動車を運転している時に
突然こんなことになったらと思うとゾッとします。
また、繁華街や電車の中とかだったら大騒ぎになっていたでしょうね・・・



発症(二)

話を戻しますが、

こりゃ119番だ! 救急車を呼ばなきゃ!

周りが見えず朦朧としていましたが、意識はあるのでそう思いました。

しかし、長年使い慣れたガラケーなら自分でテンキーを押して
119番にかけれたかもしれませんが、
iPhoneに変えたばかりで電話をかける画面を何にも見ずに出せない!
仮に出せたとしても画面を見ずに番号を押すことは出来なかったでしょう。

会社の電話の子機がズボンのポケットに入っていたのを
こんな時でも思い出し119番にかけようとしましたが、
この会社の電話も新しいタイプに変えたばかりで
何も見ずに手探りだけでテンキーを押すことが出来ない!

・・・こりゃ自分で119番に電話するのは無理だ!と諦めました。

ゆっくりゴロゴロ転がることは出来たので、部屋の入口まで行って
なんとか腕を伸ばし部屋の扉を開け、実妹の名前を呼び続けました。

すごいなオレ。と今更ながら思います。

このとき自宅にいたのは、私と実妹とたまたまいた息子。
私が居たのは2階の1室。ひとりでした。
実妹と息子は1階のリビングにいました。

自分ではかなり大きな声で実妹の名前を呼んだつもりですが、
さほど大きな声ではなかったようです。

実妹が階段を1階からのんきにのぼって来て、
私が倒れてるのを見つけて一言

「いやだ、なにしてんの」

いや、なにしてんのって・・・私お得意の冗談だと思ったそうです。

そりゃそうか。いつもおちゃらけてたもんな・・・
冗談なら良かったのにね。いや、ほんと・・・

その日、たまたまいた息子が実妹の後から階段をのぼって来て
瞬時に私が普通じゃない状態に気付き、
119番に電話をかけ、救急車を呼びました。

よくやった!

間もなく救急車が到着し、救急隊員の人達が私の元に来てくれます。
助かった。。そう思いました。

しかし、すぐには救急車に乗せてくれません。
救急隊員の人達に いろいろ質問されます。
「ご主人? ご主人? どうされました?」って

どうされました?って見りゃわかんだろ!倒れてんだよ!と思いましたが
助けて!お願い!の気持ちの方が大きかったです。(当たり前か)

「お名前は?」とか 「生年月日は?」とか 「今日は何月何日?」とか
いろいろ聞かれます。
朦朧としてるので、もうなんか遠くから聞かれている感じでした。
でもなんとか意識があるので答えます。

早く病院に連れっててくれ! 正直そう思いました。
すごく長い時間に感じました。
実際は大した時間ではなかったのでしょうね。
まぁまぁ意識があることを確認されてからようやく救急車に運ばれました。

家を出て救急車に乗せてもらうまでの少しの間、雨が顔に当たります。
雨が顔に当たる感触を忘れられません。
ものすごく冷たく感じました・・・

・・・

これは全然覚えていないのですが、後から息子に聞いた話です。
家の前で私が救急車に乗せられたあと、息子が救急隊員の人に
「なにかご主人の履物を用意してください」と言われ
家の中に戻ろうとしたとき、私が「あいふぉん」と言ったそうです。
どれだけiPhoneを大事に思っていたのでしょうね。
奥さんの名前や子供たちの名前を呼ぶわけでもなく「あいふぉん」って・・・
まぁ当然、息子は無視したそうですが。



発症(三)

どのくらい救急車に乗っていたのだろう。。。
息子が救急車に一緒に乗ってくれました。

受け入れ先の病院までの搬送途中、あくびが出ます。
これは覚えています。
息子に「何あくびしてんだよ!」って言われましたが
眠くてしてるんではないし、なぜか出てしまうんです。
普通ではないですね。
病気のせいですね。
眠いわけではないのに・・・

病院に到着してからのことは、安心したのかあまり覚えていません。
朦朧としていましたし。
ベッドに寝せられ、着ていた服を脱がされ、病衣を着せられ
MRIを撮ったくらいは、なんとなくだけど覚えていますが・・・

どうやら運び込まれた病院は、脳神経外科病院のようです。
自宅から車で30分くらいの場所みたいです。

病名は後から駆けつけた奥さんに聞きました。

医師から
「ご主人は脳幹梗塞です。1ヶ月から6ヶ月の入院が必要です」
と言われたそうです。

びっくりしただろうなぁ

びっくりなんてもんじゃなかったそうですが。

医師からMRIで撮ったであろう写真を見せられて、
いろいろ説明されたみたいですが、
気が動転して何がなんだかさっぱりわからなかったようです。

ただ、何やら私の頭の中に真っ白い稲妻みたいな線が
クッキリと入っていたのが印象的だったそうで。

もっと時間が経っている状態ですと、
白い稲妻みたいな線がぼんやりするそうです。
私はそれを見ていないので、どんな感じなのかわかりませんが。

まぁ息子がすぐ救急車を呼んでくれたから良かったみたいです。
どうも発症して
3時間だか4時間だか以内に点滴することが大事だったようで。

私は3時間以内に点滴してもらえたようです。
後述しますが、
3時間以上経っていたらもっと酷い後遺症だったのかな・・・
わかりませんが。。

・・・

奥さんの後に駆けつけた娘が、ベッドの横で泣いています。
私は「大丈夫だよ。明日帰るから」と か細い声で言いました。

この時は本気で帰るつもりでいました。
まさか3ヶ月以上の入院生活になるとは夢にも思わず・・・



発症(四)

完全看護の病院のようで(今は何処もそうなのかな)
その日、ひとまず家族は帰ります。
私は朦朧とした状態で
病室のベッドに点滴したまま横たわっています。。

・・・

自宅で倒れたときとか 病院に緊急搬送されたときとかは、
なんでもなかったような気がします。。

徐々に症状が現れてきたのでしょうか。。

あとから気づいたのですが・・・

・・・

なんと右手、右足が動かないのです!

右手も右足も触った感覚はありますが、ほとんど動かないのです。。

それに右手の指先は感覚はあるけど全てしびれている。。

それと、しばらく病室に鏡がなかったのでわからなかったのですが、
顔の右半分が垂れ下がっていたようです。
元々、顔の右半分は少しだけ下がっていたようですが
それが、さらに!(奥さん談)

どうやら右半身が麻痺してしまったらしいのです。

また、ろれつが回らなくてちゃんと喋れない!

うわぁ

「死にたい」

正直そう思いました。

50年以上生きてきて初めて本気で思いました。

今まで普通にしてきたこと、
普通に当たり前だったことが出来ないのです。

さっきまで・・・ 数時間前まで普通に生活していたのに。

・・・

また、見ているもの全てが二重に見えます。

医師や看護師にペンライトで目に光を当てられ、光を動かされても
片目しか光について行かなかったそうです(奥さん談)
この状態が2日以上続きました。

焦点が合わず、見ているもの全てが二重に見えてる間は地獄でした。
ずーっとなんですから。
目を開けていられなかったです。

これは入院して3日目でようやく治りました。

家族は、
このペンライトの光に片目しかついて行かなかった状態が
衝撃的だったようで、未だに言います。
とにかく治って、ほっとしました。
死にたい気持ちに変わりはなかったけれど・・・



尿瓶

入院初日の夜のことです。
私は点滴したままベッドに寝ています。。。

おしっこがしたくなります。

全然していなかったので当たり前といえば当たり前です。
でも歩くことができないのでナースコールで看護師さんを呼びます。

看護師さんに「寝たまましてみましょうか」と言われ、尿瓶を渡されました。

尿瓶なんて健常者は普通使いません。

出ません。出ません。それも寝たまま。

つい数時間前まで一応健常者でした。
そう簡単には出ません。

ただでさえ公衆便所で後ろに他人が立っているだけで出ないのです。
私。
それが看護師さんが傍にいるのです。
なおさら出ません。
したいのに出ない。。。

見かねた男性の看護師さんが無理やり私をかかえる様に立たせます。
立たせれば出るんじゃないかと思われたのでしょう。
立たせてしっかり支えてくれています。
申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
つーか余計出ません。
地獄です。

数分後
やっと出ました。ほっとしました。
その時は。

そう、1回すりゃ良いってもんじゃありません。
また数時間後にしたくなります。

その度に尿瓶を渡されます。寝たまましてみろと。出ないって。
入院初日の夜は一晩中、地獄でした。

次の日からは車椅子に乗せてもらいトイレへ連れて行ってくれました。
よくある手摺が付いた車椅子専用洋式便所です。
ええ、座ってしますが天国でした。



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卯月 順正

Author : 卯月 順正

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